帳簿の世界史
ちょうど簿記の勉強を始めた頃に、目に留まって読んだ本『帳簿の世界史』。
複式簿記に関するウンチク満載で、最初はとっつきにくい簿記への興味を引き出してくれた。
ゲーテが、複式簿記を「人類の最も偉大な発明である」と言うとおり、こんな仕組み、よく考えたもんだと感心する。
複式簿記が発明されたのは、中世イタリア。ちょっと意外な気がするけど(もう少し後にイギリスあたりで生まれたものだと思っていた)、当時のイタリアには、複式簿記発祥の地となる土台があって、
まず、貿易が盛んだった。
↓
貿易を通じて、アバカス(そろばん)とアラビア数字を取り入れた(それまで使われていたローマ数字は、複雑な計算に向いていなかった)
↓
共同出資会社、銀行、遠距離の貿易が発展
↓
資本主義的な利益や複式簿記が誕生
イタリアの商人は、仲間で資金を出し合って貿易を行う共同出資方式を採用しており、そのために各人の持ち分や利益を計算する必要があった。そこで、「必要は発明の母」という言葉通りの結果を出したわけである。誰が最初だったかははっきりしないが、トスカーナの承認たちが複式簿記を発展させたことは間違いない。
という歴史を見ると、文化の多様性が経済発展を促すのだな、と思う。
もひとつ、トリビアとして、「監査(audit)」という言葉の由来。
「監査(audit)」という言葉は、支配者や領主が自分の会計書類を見るのではなく「聴いた」ことに由来する。つまり彼らは、読み上げられる会計報告の「聴き手(audito)」だった。
この本を読んで、簿記会計をおろそかにすると、さしものメディチ家も没落の憂き目にあう、という教訓を得た。簿記会計科目の学習モチベーション維持に役立てたい。
書籍情報
関連記事
広告