通信制大学のジョブ理論
以前、マーケティング系科目の参考として読んだ本。
ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム (ビジネスリーダー1万人が選ぶベストビジネス書トップポイント大賞第2位! ハーパーコリンズ・ノンフィクション)
- 作者: クレイトン M クリステンセン,タディホール,カレンディロン,デイビッド S ダンカン,依田光江
- 出版社/メーカー: ハーパーコリンズ・ ジャパン
- 発売日: 2017/08/01
- メディア: 単行本
マーケティング理論や情報というよりは、ストーリーを提示して読者に熟考を促す感じなので、リポートの参考文献としては使いづらいけど、非常に示唆に富んだ内容で、業種を問わず、仕事をしていく上で考えさせられることが山盛りだった。
ジョブ理論とは?
タイトルにある『ジョブ理論』というのは、人がモノやサービスを購入する際に、その動機となる、片づけたいジョブ(用事・仕事)のことで、
人は刃の直径が4分の1インチのドリルがほしいのではない。4分の1インチの穴がほしいのだ。
というように、顧客がほしいのはプロダクトではなく、彼らの抱える問題の解決策であり、人がモノを買う行為そのもののメカニズムを解明すべし、というのが本書の主旨。
通信制大学のジョブ理論
ジョブ理論の実例として、食品メーカーからITまでありとあらゆる企業が登場する中で、米サザンニューハンプシャー大学(SNHU)の通信課程の事例が興味深かった。
大学として特にこれといった特徴のなかったSNHUは、景気低迷で入学者数が減少し、それまであまり力を入れていなかった通信課程に注目する。
すでに働いている通信課程の学生にとって、片づけたいジョブ(用事・仕事)とは何か?
それは、今の職の将来性をできるだけ早く効率的に向上させることであり、具体的には、利便性、サポート体制、資格取得、短期終了、という結論に達する。
熱血アドバイザー
かくして、この大学は通信課程の部門を大改正し、ジョブ理論に見合った体制に。
SNHUでは通信課程の新入生ひとりずつに個人アドバイザーをつける。アドバイザーは継続して連絡をとり、学生自身が気づかないうちから危険信号を察知し、彼らが望みどおりに進歩しつづける手助けをする。
すごいなと思ったのは、このアドバイザーの甲斐甲斐しさと熱血ぶり。
今週の課題を水曜日か木曜日になっても確認していなかったら? 担当のアドバイザーから連絡がくる。小テストが散々な結果だったら? 講義のことだけでなく、生活面で何か困っていないか確認するため、担当のアドバイザーから連絡が来る。ノートパソコンの調子が悪い? 場合によっては、アドバイザーが代替品を送ってくる。
個人的には、リポートの締め切り前に連絡がきたら、おちおち勉強していられないような気もするけど。。
卒業までに若干の単位を残したまま、ある学生が重い病にかかった事例もあった。その学生を共同で担当している技術系ヘルプデスクの職員とアドバイザーは、学生が学位を修了するに充分な勉強量をこなしていることを学部長に説明する役目をみずから買って出た。学部長の承認を得ると、ふたりは学生に卒業証書を渡そうと、入院先の病院へ個人的に出向いた。
といった具合に、すごく親身で熱いのだった。
ちなみに学費は
米サザンニューハンプシャー大学(SNHU)のサイト(https://www.snhu.edu/tuition-and-financial-aid/tuition-and-fees/online-tuition)を見てみたところ、通信課程の授業料は、1単位あたり$320、卒業所要単位が120とのことなので、計$38,400。(諸経費は含まず)
1ドル=110円で換算すると、4,224,000円。
かなりの金額だけど、それでも米大学の授業料の相場を考えれば、安価と言える。
参考:
この金額を見て、環境、運用、その他、大きく異なるだろうから、単純比較はできないけど、学位取得の代金としては、法政通信の低廉な教育費、なんてすばらしいんだろう、とあらためて思った。
(参考:通信制大学編入から卒業までの学費【実例】)
MYジョブ理論
私自身が通信制大学に求めたのは、以下の点だった。
- 仕事に必要な簿記会計の知識
- 今後も自力で仕事を続けていくための方向性の模索
あと、実際に勉強を始めてみて気づいたのは、学びに飢えていたということ。
(何しろ、学びといえるようなこと、ほとんどしてなかったから。。)
現時点での効果としては、財務諸表を作成する際の、いやな汗の量がかなり減った。
あと、リポートや試験を自転車操業でこなす日々を送るうち、新しいことにもつべこべ言わずチャレンジするクセがついたのは、大きな収穫だった。
でも、本当に問題解決にいたったかどうかは、今後の自分しだいなのだろうな、と思う。
しっかりと心して、熟女の底力を発揮していきたい。
関連記事