ざんねんないきもの事典
年末年始、自分にしてはけっこう勉強したので(参考:新春リポート計画)、気楽に読めて、くすっと笑える『ほっこり効果』を求めて、この本『おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典』を手に取った。
おそらく、本来の想定読者は、小学校高学年くらいかと思うけど、すべての漢字にルビがふってあるので、低学年でも読めそう。
そして、大人もじゅうぶん楽しめる。というか、考えさせられる。
※ほっこり系とは、ちょっと違ってた。
ざんねんの定義
この本が言うところの『ざんねんないきもの』とは、
ざんねんないきものとは一生けんめいなのに、どこかざんねんないきものたちのことである。
とのこと。
中身を読むと、あらゆる生物に見られる、一見、合理性がなさそうな形状や生態を『ざんねん』と表現している模様。
たとえば、無駄にゴージャスなクジャクの羽も『ざんねん』な事例として挙げられている。
(メスにアピールする以外、役に立たず、羽を広げている時に強めの風が吹くと、転んでしまうらしい。確かにざんねんだ。。)
適者生存?
本の最初の方に、こんな一節が。
どんなに強い生き物でも、地球の環境がガラリと変われば、あっという間にほろんでしまう。これが、自然のきびしいおきて。
地球がいつ、どう変わるのか、だれもはっきりとはわからないので、進化に正解はありません。生き残れるかどうかは、もはや運しだいなのです。
決して、生き残っている = イケてる、というわけではないのだった。
実際、個々の『ざんねんないきもの』たちを見ていると、『進化』というよりは、苦し紛れにその場しのぎの修正を繰り返しては、どうにかこうにか、やってきました!という感じがする。
身につまされる、ざんねん事例
読んでいて非常に身につまされたざんねん事例を挙げると、
◆ダチョウの脳みそ
ダチョウは世界最大の鳥で、あらゆるサイズが規格外です。(中略)当然、体のパーツも大きく、目玉だけでも直径5cm、重さは60gあります。これはニワトリの卵とちょうど同じくらいの大きさです。(中略)
こうなると、脳もさぞ大きそうなものですが、たった40gしかありません。つまり目玉以下です。頭のよさは脳の大きさだけでは決まりませんが、実際ダチョウはかなり記憶力が悪いそうです。
◆メスの『いぼ』になるアンコウのオス
深海は生き物が少なく、オスとメスが出会うのはとても大変。そのためミツクリエナガチョウチンアンコウのオスは、メスに出会うと体にかみついてくっつきます。一見ラブラブですが、オスの皮膚や血管はメスと合体し、最終的にメスのいぼのような存在になるという過酷な運命が待っています。
◆労働搾取されるアリ
クロヤマアリは数が多く、働き者のまじめなアリです。でも、戦闘能力が低いため、ほかのいろいろなアリのどれいにされてしまいます。
たとえば、サムライアリは戦いが得意ですが、巣の中の仕事はまったくだめ。そこでクロヤマアリの巣に乗りこみ、力づくでさなぎや幼虫をうばいます。
サムライアリの巣で羽化したクロヤマアリはそこを自分の巣だと思いこみ、自分を誘拐した敵のために一生けんめい働き続けるのです。
※仕事や恋愛で辛い局面にある大人が読むには、危険すぎる内容かもしれないので、気を付けて!
小学生には楽しくてためになる
もちろん、本来の読者層である小学生のお子さんには、楽しくて勉強になる本だと思う。
生物の進化の歴史が、見開きでイラストマップになっているところとか、うまくまとまっていて(46億年前の地球誕生~400万年前の人間の祖先)、教科書で見るよりも、すんなり頭に入りそう。
結論: 小学生のお子さんに、かなりおすすめ!
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